研究概要


私の研究の分野は、以下の通りです。
A. 非線形偏微分方程式の数値解法及び計算数学に基づいた数値シミュレーション
B. ハイパフォーマンスコンピューティング(大規模行列の並列解法、領域分割法など)


A. 非線形偏微分方程式の数値解法及び計算数学に基づいた数値シミュレーション
Wigner-Boltzmann方程式から階層的に導出される量子流体方程式とその数値スキームの研究に取り組んでいます。 量子流体方程式は半導体内の電子輸送をモデリングするマクロ流体モデルの1つで、階層構造を有しています。 その数値シミュレーション結果は、半導体デバイスの性能予測、特性評価に用いられており、設計・開発に役立てられています。 これまで以下の様な研究を行ってきました。

1)数理モデルの導出:階層モデルの一つである放物-楕円型の量子エネルギー輸送(QET)方程式の導出
2)数値解法:高精度非線形スキーム、及び反復解法の開発
3)数値シミュレーション解析:最先端の新材料・新構造デバイス開発の応用


B. ハイパフォーマンスコンピューティング(大規模行列の並列解法、領域分割法など)
連立非線形偏微分方程式系になるモデルに対して、領域分割法と高速行列解法を基礎とした並列計算スキームを研究しています。 半導体方程式を対象として、現実問題で現れる大規模な行列の並列解法や領域分割法の研究を行ってきました。この研究は現在、 文科省ポスト「京」アプリケーション開発・研究開発・重点課題7に参画して企業との共同研究を進めています。 これまでの研究で、デバイスシミュレーションに用いられているドリフト拡散モデルに対して、Overlapping Schwarz法に基づく領域分割法を適用し、 MPI/OpenMPによるハイブリッド並列を実現しました。現在は、NECのスパコンであるSX-ACE上で収束性vs並列化効率の評価を進めています。