授業資料/14
To use Emacs: Emacs を使える人めざして †
なんだかんだ言って，エディタをきちんと使えないと unix の操作はおぼつかない． それだけでなく，学生諸氏がレポート，卒論，修論をかくにあたっても，長い文章をきちんと書くにはよいエディタが必要だ．
そういう意味で，今回は Emacs について，きちんと使えるようになることを目指して学ぼう．
101: Emacs 入門 †
Tutorial: まずは復習 †
まずは以前の復習と，emacs についているチュートリアルをするのが第一歩だ．
以前の資料
の部分を読み，最低限の基本操作を把握し，チュートリアルを(再び)行うとともに，注意点などを理解しておこう．
Tips: 知っておくと良い操作 †
初心者がスルーしがちだが知っておくととても便利な操作があるので、それを紹介しておこう．
- 外部コマンドを実行する(シェルを呼び出す)
- Emacs 中で M-! とすると、下部に Shell command: とでて入力を促される．
ここにコマンドを入れると、普段の shell にコマンド入力するのと同様な結果が得られる．
まず試しに、M-! としたあと、date と入れてみよう．
date コマンドを入力すると得られる結果が下部に見えるはずだ．
次に、同様に、M-! としたあと、man␣date と入れてみよう． コマンドのマニュアルも Emacs 中から呼び出せて、しかもコピペすることもできるので便利だ．
また、コマンドの出力結果を直接エディタに貼り付けることもできる． それには、C-u M-! としてからコマンドを実行すれば良い． 試しに C-u M-! としてから date と入れてみよう． カーソルがあった場所に date コマンドの結果が貼り付けられるはずだ．
このように単発のコマンドを実行するならば、これが十分に役に立つ． - いま編集中のデータを外部コマンドに渡して処理してもらう
- Emacs が選択中のリージョンがある場合、M-| (最後のは縦棒) と入力すると、
外部コマンドの標準入力にそのデータを渡すことができる．
例えば、
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という行データを Emacs に用意して、そこをまず region 選択しよう． それから、M-| として、Shell command on region: と出てくるのでここで uniq と打ち込んでみよう． すると、画面下部などに(要するに Emacs の別バッファに)、データの重複を除去したデータが出力されるはずだ．C-x b として探してみよう．
さらに、この出力結果を「直接貼り付け」もできる． 例えば上と同じ
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という行データを Emacs に用意して、そこをまず region 選択しよう． それから、C-u M-| として、Shell command on region: と出てくるのでここで uniq と打ち込んでみよう． なんと、重複が消えたデータがそこに貼り付けられ、結果としてデータが置き換わる！*1
他にも、bc コマンドに計算をさせるというのもありだろう． 例えば、書籍を特定するコードである ISBN の「チェックデジット」*2を計算してみよう． Wikipedia によれば、ISBN-13 のチェックデジットの計算方法は、
1. チェックディジットを除いた一番左側の桁から順に1、3、1、3…を掛けてそれらの和を取る
2. その和を10で割って余りを求める
3. その余りを10から引いて得られた数字がチェックデジット. ただし、この結果が 10 になった場合はチェックデジットは 0 とする．
として計算できるそうなので、「入門 GNU Emacs 第3版」の ISBN
978-4-87-311277-0
の最後の文字、チェックデジットが確かに 0 になることを確認してみよう．
まず、Emacs で
(9+8+8+3+1+7) + 3*(7+4+7+1+2+7)
と書こう．そしてこの「行」(改行コードを含むように！つまり、次の行頭までを選択すること)*3を region 選択してから、 M-| としてから bc␣-l と入力してみよう*4． すると計算結果 120 が得られるので、あとは暗算で確かにチェックデジットが 0 になることがわかる．
このように、M-! と M-| はなかなか便利なので覚えておこう．
Nice reference: よくできた資料 †
まず、
Emacs ビギナー
は、ビギナーが知っていると良いことが網羅的かつタイトに書いてあって、大変良く出来ている．
分量も多すぎず、良い感じだ．
ぜひ読んでおくと良いだろう．
より詳しい資料としては、
Gnu Emacs マニュアル
が Emacs についての解説として，本当に，本当によく出来ている．
ちょっと長いけれど…
この中から最初に読んでおくと良さそうなところをピックアップしておこう．
上の web は A,B,C,... Y,Z,AA,AB,... AK と見出しに記号が打たれている．
この中から，
- D. 基本編集コマンド
- E. ミニバッファ
- H. マークとリージョン
- K. 探索と置換
- O. 複数のバッファの使い方
- P. 複数のウィンドウ
の部分について，なるべくきちんと読みながら，中に書いてあるコマンド等を実行し，確かめよう． また，便利そうなものについては(忘れてしまわないように)手元のメモなどにメモしておこう．
again...: 以前学んだことと絡む部分 †
上の web の
- N. ファイルの扱い方
の中の，[N.7 VC(版管理、バージョンコントロール)] を読み，RCS と合わせて使ってみよう．
もちろん，RCS が入ってない環境では試しにくい．
そうした場合は，Windows 上の Meadow と cygwin (RCS が入っているとして)という組み合わせで試そう．
Dynamic abbrev: 便利なので少しでも早く使えるようになるべし という機能(動的略語展開: dabbrev) †
プログラムを書くときや，長い文章を書くときなどに特に非常に大きな力を発揮するのが「動的略語展開(dynamic abbrev expansion)」 である．
これについてやはり上の web の
- Y. 略語の利用法
の中の，[Y.6 動的略語展開] を読み，いろいろ試してみよう．
(中級者向け)
なお，デフォルトの dabbrev は日本語に弱い．
これは日本語が単語をスペースで区切らないからである．
これをきちんと解決する方法が
日本語で dabbrev を使う ― dabbrev-ja
に書かれているので，これを読んでなんとかしてみよ．
Cards of commnads: 持って歩けるコマンド参照カード †
Emacs Reference Card
に，日本語版も含め，もって歩けるように紙 1枚に Emacs のコマンド表を印刷するためのファイルがある．
少し前のバージョンのものだが，中級者ぐらいまではまったく問題がないはずだ． 自分に合うものを選んでどこかで印刷し，かばんなどに入れておこう．
なお、英語版でよければ最新版が
Emacs Reference Card
にある.
Report: レポート †
以下の課題について能う限り賢明な調査と考察を行い，
AppliedMath7-Report-14
という題名をつけて e-mail にて教官宛にレポートとして提出せよ. なお，レポートを e-mail の代わりに TeX で作成した書面にて提出してもよい.
Exercises: 課題 †
- 上の Emacs コマンド参照カードを参考にして，自分専用のものを作ってみよう．
上の web にある TeX ソースをお借りして変更するもよいだろうし，自分でゼロから作ってみるのもよいだろう．
そして，出来上がったものをレポートとして送付せよ．
about Icons, ClipArts †
For details, see
this.
